田舎草子

Prose of INAKA

田舎の大学生

みなさんは「田舎の大学生」と聞いたときに、どのようなイメージを思い起こすでしょうか。
パッとしない芋臭い若者?いかにも大学デビューしたような痛々しい出で立ちの人々?
交通の便が悪く、品揃えのよくないスーパーがちらほら点在しているような所でようやく暮らしているような学生?etc…

…まぁこれらすべてが私の大学時代のことなのですが。
今回お話したいのは私の恥ずかしい大学生像などのことではなく、「田舎の大学生」というタイトルの曲についてです。
先日twitterで「田舎の大学生という曲にめちゃくちゃ思い入れがあるからまたあとで話すね」という旨のつぶやきを投稿しました。
そこで早速ですが、その「田舎の大学生」という曲について話しちゃいましょう。

 

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この曲は、2009年発売のKNOTSさんのアルバム「ヘルメンマロンティック」の1曲目に収録されている曲で、KNOTSさんのネットラジオ等の配信でもよく演奏されている曲です。
残念ながら現在、アルバムは廃盤になってしまいましたが、ご本人様のホームページ等で聴くことができます。
この記事で気になった方がいらっしゃいましたらぜひ聴いてみてくださいネ!(ダイマ)

 

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高校を卒業し、大学に入学した私は「大学生になったからには思う存分自由を謳歌するんじゃ^~」という下卑た欲望に駆られ、バラ色のキャンパスライフを現実の物とするべくいろいろ頑張ってました。
ところが、そこは田舎の大学。一通りが終わり、一歩キャンパスを出ればそこにあるのは寒々しく広がる景色と家へ帰るために伸びる道だけでした。
見知らぬ土地での一人暮らし。あまりにもさみしいじゃありませんか。そんな時に心の拠り所となったのはインターネット…。
ある日、家に帰った私がネットサーフィンをするなかでふと目にとまったのが作者のKNOTSさんの個人ホームページ「ノッツクリーム」でした。
私がKNOTSさんを知ったきっかけは某ゲームの掲示板に投稿されていた漫画でしたから、「この人、曲も作ってる!CDまで出てる!」とすごく驚いたものです。


ここで話を戻しましょう。アルバム「ヘルメンマロンティック」の1曲目、「田舎の大学生」という曲はどのような曲なのか。
それは、端的に言ってしまえばわたしの大学生活そのものなのでした。

 

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二両の電車は走る 送り出した風を受けて 煙は一様に流れてく   

こんな歌詞から始まる曲、入学して間もなかった私にはたまりませんでした。まさに今の自分じゃありませんか!
この歌詞から始まる曲の中で生きているのは、田舎の大学という日本のほとんどを占めるような舞台で生きて、もやしを炒め、安い発泡酒をあおるような普通の大学生。
自分が遠く置いていかれてしまうような、想像しかできないような遠い場所や現実では存在できないようなファンタジーのような世界ではなく、田舎の、大学生のリアル。
何気なく流れていく日常の中にほんのちょっぴり刺激がある、そんなことが想起されるメロディや歌詞。

そりゃあ何度も何度も聴きました。すぐにアルバムを買って、すぐに携帯音楽プレーヤーに突っ込みましたよ。
進級がかかった試験の追い込みや、胃が痛くなるほどイヤなバイトへの通勤途中、徹夜のレポート…。この曲は私のすぐそばにありました。
そして大学を卒業した日、この曲を聴いた私はやはりたまらなくなって。

ああ、この曲に生きていたのはやはり自分だった。

 

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「田舎の大学生」は大人になった今でも大好きだし、何かあるとすぐ聴いて大学時代に戻りてぇ~とセンチメンタルに浸ってしまいますね。
個人的にはこのアルバムでは、この曲の他に「海沿い」が好きです。なによりメロディーがキラキラしていてきれいなんですよ。
オタクは自分語りが大好きだから、どんなに恥ずかしくてもお酒の力を借りればこんなことも書いちゃう。
でも理屈より「これ、めちゃめちゃええやん!!」みたいな勢いが大事だと思います!身も蓋も無いけど!

最後に。この記事で伝えたかったことは、「田舎の大学生」という曲とヘルメンマロンティックを持ってるゾという自慢。
そして「田舎の大学生」だった私は今、「田舎の社会人」としてもやしを炒め、安い発泡酒をあおるようになっているということです。

 

 

ヘルメンマロンティック

ヘルメンマロンティック