田舎草子

Prose of INAKA

七夕の夜に

あっという間に今年も七夕がやってきた。個人的に特別な何かがあったりするわけでもなく、天の川を見上げて、一年に一度の逢瀬に浸る彦星と織姫に思いを馳せることもない。短冊に願いをしたためて笹に吊るすこともしなくなって久しい。
わたしにとってはなんでもない日ではあるが、七夕が来るとともに、今年もまた夏がはじまるのだと実感する。
ようこそ、夏!


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七夕を意識しなくなってどれくらい経つだろうか。幼少の頃のわたしは、「ウルトラマンになりたい」と書いた短冊を笹の葉の下の方にぶら下げ、たなばたさまを声高らかに歌ったものだ。
あれから長い時間が過ぎ、立派に育ったわたしはどんな願いをしたためるのだろうか。せっかく日本人に生まれたのだから、こうした季節の移り変わりや昔からの伝統には機微でありたいものだ。
ちなみに、今のわたしはきっと「不労所得!」という下卑た願いを書くだろうな。我ながら子供の頃の純粋さがまるでない大人になってしまったものだなぁ、と思う。


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今、この記事は、お酒を飲んで、音楽を聞きながら書いている。とてもいい気持ちだ。
音楽はアントニオ・カルロス・ジョビンの「三月の水」という曲で、自分がしっかりしていれば大丈夫、という感じの曲。

 


Antonio Carlos Jobim - Águas De Março

しっかりしていかなきゃなぁ。
短冊にはせめて「不労所得を得るためにがんばれますように」くらいは書いておこうかな。
今年も暑い夏になりそうだ。